◆◆◆イラク戦争(第2次湾岸戦争)◆◆◆

〜イラクの自由作戦〜


◆◆◆戦力◆◆◆
イラク軍 兵力42万5000人 作戦機316機 戦車2600両

アメリカ軍 兵力28万人 作戦機600機 空母5隻
イギリス軍 兵力2万6000人
オーストラリア軍 兵力2000人


◆◆◆兵器◆◆◆
(アメリカ軍)
F-15Eストライクイーグル 全長19.43m 全幅5.63m 速度M2.5 航続距離4445km 搭載11.113t バルカン×1 HP×9
F-16Cファイティングファルコン 全長15.03m 全幅9.45m 速度M2.0 航続距離3890km 搭載5.443t バルカン×1 HP×9
F/A-18Eスーパーホーネット 全長18.31m 全幅13.62m 速度M1.8 航続距離3336km 搭載8.051t バルカン×1 HP×9
F-117Aナイトホーク 全長20.08m 全幅13.20m 速度M0.9 搭載2.268t
B-2Aスピリット 全長21.03m 全幅52.43m 速度M0.8 航続距離11668km 搭載22.68t
B-52Hストラトフォートレス 全長49.10m 全幅56.39m 速度M0.9 航続距離20120km 搭載24.3t バルカン×1
AH-64Dロングボウ・アパッチ 全長15.47m 全幅5.82m 速度296km/h 航続距離482km 搭載771kg 30mmチェーンガン×1 HP×4
CH-47Dチヌーク 全長15.54m 全幅3.78m 速度298km/h 航続距離2058km 搭載10t

M1A2エイブラムス 重量57.154t 全長9.828m 速度66.77km/h 航続距離465km 120mm砲×1 12.7mm機銃×1 7.62mm機銃×2
M2/M3A2ブラッドレー 重量30t 全長6.55m 速度66km/h 航続距離483km 25mm機関砲×1 7.62mm機銃×1 TOW×1 兵員6人
M1025A1ハマー 重量2.79t 全長4.57m 速度113km/h 航続距離483km 銃手等3人
M109Aパラディン 重量28.4t 全長9.7m 速度56km/h 航続距離283km 155mm榴弾砲×1
M113 重量14t 速度66km/h 12.7mm機銃×1 兵員11人

エイブラハム・リンカーン 満排水量10万2000t 全長332.9m 速度30kt 搭載機81+ヘリ6 SAM8連装×3 CIWS×4 乗員5984人
セオドア・ルーズベルト                          仝 
ハリー・トルーマン                             仝
キティ・ホーク 満排水量8万1123t 全長323.6m 速度32kt 搭載機80+ヘリ6 SAM8連装×3 CIWS×3 乗員5410人
コンステレーション 満排水量8万1773t 全長326.9m 速度32kt 搭載機80+ヘリ6 SAM8連装×3 CIWS×3 乗員5410人

(イギリス軍)
シーハリアー 全長14.5m 全幅7.7m 速度M0.95 航続距離3330km 搭載3.63t 30mm機関砲×2 HP×5

アークロイヤル 排水量2万600t 全長209.1m 速度28kt 搭載機21機 SAM連装×1 CIWS×3 20mm機銃×2 乗員1051

(イラク軍)
MiG-29ファルクラム 全長17.32m 全幅11.36m 速度M2.3 航続距離2900km 搭載3000kg 30mm機関砲×1 HP×9


◆◆◆記事◆◆◆

3月20日
米ホワイトハウスは19日夜(日本時間20日午前)、米英軍がイラクに対する攻撃を始めたことを明らかにした。 ブッシュ米大統領がフセイン・イラク大統領に亡命を迫った最後通告の期限が米東部時間19日午後8時(日本時間20日午前10時)に切れたのを 受けたもの。ロイター通信によると、バグダッドで20日未明(日本時間同日午前)、空襲警報と爆発音が聞こえた。その後、対空砲火が続いた。
◆米英軍はバグダッド時間20日早朝(日本時間同日午前)、イラク攻撃を開始し、ブッシュ米大統領は攻撃開始後、「イラクを武装解除する初期段階の軍事作戦」を始めたと宣言した。紅海やペルシャ湾に展開する米海軍艦艇などが多数の巡航ミサイル・トマホークを発射したほか、レーダーに探知されにくいF117ステルス戦闘機などがフセイン大統領ら政権幹部を標的に、特殊貫通爆弾バンカーバスターなどを使った集中的な爆撃を敢行している模様だ。フセイン大統領ら政権幹部の生死は不明。大統領の長男ウダイ氏は「米国の侵略に対する聖戦」を宣言した。一方、英スカイニューズ・テレビはイラクの2個師団が投降の意向を示していると伝えた。それぞれ1万8000人から3万人規模という。一昨年9月の同時多発テロ以降、イラクとの敵対姿勢を強めてきた米政府はついにフセイン政権打倒を目指す軍事行動に踏み切ったが、国連安保理の容認決議を経ない先制攻撃が国際的な非難を呼び起こすのは必至だ。各種情報を総合すると、攻撃はバグダッド時間20日午前5時半(日本時間同日午前11時半)ごろ始まった。米軍は巡航ミサイル・トマホーク約40発をフセイン大統領の所在地と推定されたバグダッド地域の1カ所に集中的に撃ち込み、地中深く貫通するバンカーバスターも使用した。
◆米英軍によるイラク攻撃開始を受け20日早朝、イラクの国営ラジオ放送は、フセイン大統領の長男、ウダイ氏の声明を伝えた。ウダイ氏は「神々が我々を見守っている。神が我々を救う。イラクはアメリカの攻撃に対しジハード(聖戦)を始めた」と述べた。
◆19日夜(日本時間20日)に始まった米軍のイラク攻撃は、いきなり首都バグダッドにミサイルを撃ち込むなど、サダム・フセイン大統領またはその一族を第一撃から「点」で標的にしたと見られ、米中央情報局(CIA)などがフセイン大統領の動きをかなり詳細に把握していた可能性が高い。
◆米海軍は、米国の巡洋艦4隻と潜水艦2隻が、20日早く、イラクに向けて、トマホーク巡航ミサイルを発射したことを明らかにした。作戦は、現在も継続中という。
◆イラクのサダム・フセイン大統領はイラク時間20日午前(日本時間午後)、米英軍のイラク攻撃開始を受けて国営テレビで演説し、「ブッシュ(米大統領)は恥ずべき犯罪を犯した」と非難し、イラク国民に対し「剣を持って立て。剣を引き抜け」と徹底抗戦を呼びかけた。
◆国営クウェート通信によると、イラクは20日、ミサイル2発をクウェート北部に発射、米軍の攻撃に反撃した。クウェート治安当局の情報として伝えた。クウェートには米地上部隊が待機しているが、ロイター通信によると、クウェート国防省はミサイル攻撃による死傷者はないとしている。化学防護服を着用した専門家がミサイルの着弾地点を調べている。クウェート・テレビは、着弾したのは3トンの中距離ミサイルで、通常の弾頭を搭載していたと伝えた。迎撃ミサイルが発射されたかどうかは不明。
◆クウェート駐留米第101空挺師団当局者は20日、現地で進撃態勢を整えていた米部隊に対してイラク軍が地対地ミサイル一発を発射したと述べた。パトリオット・ミサイルによって迎撃、撃ち落とされた。イラク軍の米軍への反撃は初めて。ロイター通信などによると、イラクは同日、クウェートに向けて少なくともミサイル3発を発射した。今のところ、死傷者は伝えられていない。撃墜されたのはイラクが独自に開発したとされるアッサムード型ミサイルで、通常弾頭が搭載されていた。パトリオットは3発発射され、うち1発が命中したとみられる。米軍は、ミサイル攻撃の情報を受け、部隊の兵士に化学戦防護服の着用を命じた。ミサイル飛来情報を受け、クウェート当局は同日正午(日本時間同日午後6時)以降、クウェート市内に断続的に警報サイレンを鳴らし、市民に警戒を呼び掛け続けた。
◆ラムズフェルド米国防長官は20日、イラク南部の3、4カ所の油田が炎上していることを明らかにした。イラク軍が「焦土作戦」として油田に火を放った可能性もある。また米軍はクウェートに展開する部隊に戦闘態勢に入るよう命じたとされ、イラクへの地上侵攻と本格空爆が近いとの見方が強まっている。長官は「フセイン・イラク政権の残された時間は限られている」と述べ、フセイン政権の短期打倒への自信を示す一方、フセイン政権が生物・化学兵器の使用をイラク軍に許可したことを明らかにした。
◆米CNNテレビなどによると、対イラク攻撃を進める米軍は20日午後9時(日本時間21日午前3時)すぎ、首都バグダッド中心部の大統領宮殿や共和国防衛隊の施設など重要拠点数カ所を巡航ミサイルのトマホークなどで爆撃、一部施設が炎上した。 またイラク領内に侵入していた米軍地上部隊は同日夜、クウェート国境近くの港湾都市ウムカスルを制圧。開戦後初めて、米軍がイラク国土の一部を占領した。 英軍の陸上部隊も初めて攻撃に参加。クウェート駐留の米軍第1海兵遠征軍もイラク国境沿いの非武装地帯を越え、イラク領内に侵攻した。
◆AP通信によると、クウェートの対イラク国境付近に駐留する米陸軍第3歩兵師団は20日夜(日本時間21日未明)、イラク領内に向けて砲撃を開始した。同師団の司令官は「砲撃は地上戦の第1段階だ」と述べ、地上戦に突入したことを明らかにした。また、米FOXテレビは同日、イラク南部で爆撃と攻撃ヘリで地上への攻撃を開始したと伝えた。
◆21日付の米紙ワシントン・ポストなどによると、米情報当局は米軍がイラク時間の20日朝、バグダッドのイラク指導部施設に空爆を加えた際、同施設内にフセイン大統領がいたとみている。ただ、フセイン大統領の安否についてははっきりしないという。
◆英国軍が、イラク南部のファウ半島に拠点を確保した。同半島は、石油タンカー運行の戦略ポイントでもある。 英国海兵隊が20日夜にイラク南部を攻撃し、バグダッドへの進撃に向けて重要な足場を確保した。
◆米英軍地上部隊は20日夕(日本時間21日未明)から、クウェート国境を越えてイラク領内への大規模進攻を開始し、先頭部隊は夜間行軍の末、21日朝(同午後)までに国境から約150キロの地点に到達した。英軍スポークスマンは、「3、4日内にバグダッドに進駐できるよう望む」としており、米英軍は首都への「突進作戦」を進めているもようだ。 米英軍は進攻作戦開始直後、イラクの主要石油積み出し港であるウムカスルを占領した。米英地上軍は今後、続々と増強され、広範な戦線に数万人が投入される見込みになっている。
◆21日付の米紙ワシントン・タイムズは、米当局者の話として、米軍機が20日にバグダッドのイラク指導部施設を攻撃した際、フセイン・イラク大統領の長男、ウダイ氏が死亡したとの情報があると報じた。フセイン大統領については、攻撃の30分前に施設を離れた可能性も残るという。
21日
◆圧倒的な軍事力でイラクへの攻撃を本格化させた米英軍に対し、イラク側はクウェートへのスカッドミサイル発射などで抵抗をみせる。だが、フセイン大統領は当初から、首都バグダッド、中部のティクリート、北部の油田都市キルクークの3拠点地域に戦力を集中させて迎え撃つ構えとされ、消息筋は市街戦に持ち込むため米英軍をおびき寄せる作戦を取るとみる。だが、南部では今後、イラク軍兵士の大量投降も伝えられ、政権内部に動揺を与える可能性もある。フセイン大統領は米英軍と対じしつつ、政権に批判的な国民の反乱を警戒せざるをえないという困難な対応を迫られている。湾岸戦争(91年)以降、米英が北緯33度以南に設定した「飛行禁止空域」では、米英軍が普段から偵察飛行を続け、イラクの軍事施設を空爆してきた。このため、元々、南部にイラク軍の兵力を集結させることは事実上不可能だった。このため、南部での抵抗はそれほど激しいものにならないとの見方が濃厚だ。また、長引く国連経済制裁で、イラクは兵器や関連部品の輸入は禁止され、制裁前から保有していた旧ソ連製兵器などを補修しながら使用しているとされる。周辺国からの物資補給も難しく、専門家は兵器の5割は使用できない状態とみている。こうした制限の下、フセイン大統領はバグダッドなど戦略的に重要な3都市の防衛を優先させることにした模様だ。一般の国軍に比べ、はるかに給与面などで厚遇され士気が高いとされる精鋭の共和国防衛隊約2万人ははバグダッドなどの周辺に配置され、主に大統領と家族らの防衛に当たる。バグダッドにはアラブ・イスラム諸国から、アフガニスタン戦争やチェチェン紛争を経験したイスラム聖戦士(ムジャヒディン)数百人が入っているとされ、ゲリラ戦を展開する可能性もある。大統領は接近戦で米英軍に大量の犠牲者を出させ、戦闘の長期化を狙う可能性が高い。
◆カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」によると、イラク北部モスルで21日未明、米英軍の攻撃があった模様だ。事実とすれば、米英軍が北部でも攻撃を始めたことになる。 同テレビはモスルからの生中継で、市内で空襲警報が鳴った約1時間後に郊外で爆発音が何回か聞こえたと伝えた。モスルは、少数民族クルド人の自治区に隣接する大都市で、フセイン政権の支配下にある要衝。
◆米CNNテレビは21日、クウェートからイラク南部に侵攻した米海兵隊の兵士1人が、戦闘中に死亡したと伝えた。詳細は不明だとしている。公式に確認されれば、米軍のイラク攻撃で初の戦死者になる。
◆国営イラク通信(INA)によると、フセイン大統領は、米英軍機を撃墜したイラク兵士らに報奨金を与えるとする大統領令を発令した。同大統領令は、米英軍の戦闘機を撃墜した兵士に1億イラク・ディナール(約400万円)、ヘリを撃墜した兵士には5000万ディナールの報奨金を約束。また、米英軍のパイロットや兵士を拘束すれば5000万ディナール、殺害すれば2500万ディナールを与えるものとしている。
◆米ABCテレビは21日、フセイン・イラク大統領が20日の空爆後、酸素マスクを装着して病院の担架に乗せられ、爆撃された建物から運び出されるのを目撃した人物がいると伝えた。ロイター通信が米政府当局者の話として伝えたところによると、米国による情報収集活動の結果、フセイン大統領は20日の米軍の攻撃後、イラク軍と連絡を取り合っている形跡はないという。イラク側はフセイン大統領は健在と発表している。
◆米英軍はイラク時間の21日夜(日本時間22日未明)、首都バグダッドや北部の要衝モスル、油田地帯を抱えるキルクークなど各地で、開戦後初めての大規模な空爆作戦を開始した。大統領宮殿のある政権中枢施設が炎上。米国防総省によると、同日の空爆対象は数百カ所に上る。
◆ドーハのキャンプ・アッサイリヤの米中央軍広報官によると、イラクに展開している米海兵隊員1人が21日、イラク軍との交戦で新たに死亡、戦闘による米兵の死者は計2人となった。広報官によると、新たに死亡したのは第1海兵イラク戦争に参加している英軍のコックス司令官は空母アークロイヤル艦上で21日、少なくとも250人のイラク兵が投降したと語った。イラク兵は、英軍と合同で南部の港湾都市ウムカスルに進撃中の米海兵隊に投降したという。遠征隊に所属する兵士で、イラク南部のウムカスル港近くで同日午後、イラク軍と交戦中に死亡した。
◆米ABCテレビは21日、中央情報局(CIA)当局者の話として、イラクのラマダン副大統領、イブラヒム革命指導評議会副議長、アリ・ハッサン元国防相の3人が、現地時間20日の米英軍による最初のバグダッド空爆で死亡したとみられると報じた。
22日
◆米CNNテレビによると、トルコ軍の部隊が国境を越えて、イラク北部に入ったと同国のテレビが伝えた。
◆イラク領内を進撃している米英軍地上部隊は22日未明(日本時間同日午前)までにイラク南部の要衝バスラ付近に布陣、同地攻略の構えを見せている。米英軍は、首都バグダッドへの猛爆とともに地上での攻勢を強め、フセイン政権崩壊を目指す短期決戦に全力を挙げている。 こうした中、イラク軍の士気低下を示す情報が相次ぎ、CNNテレビなどの報道によると、バスラ防衛に当たっていた部隊の一つ、陸軍第51師団の師団長が約8000人の将兵とともに投降するなど、正規軍の一部は自壊現象を見せ始めた。
◆対イラク作戦で、米国防総省が「衝撃と畏怖(いふ)」と呼ぶ大規模空爆が21日、ついに始まった。その特徴は、物理的な破壊だけでなく、戦意喪失に陥るほど大きな心理的打撃を与えることを狙っている点にある。「衝撃と畏怖」の作戦内容は、巡航ミサイル・トマホークや航空機から投下する精密誘導爆弾を戦争史上前例のない規模と集中度で投入し、フセイン大統領をはじめ政権幹部の居住・執務施設や、権力基盤となっている共和国防衛隊、治安機関の施設などを攻撃することだ。
◆カタールの米中央司令部の報道官は、米軍主体の連合軍が21日から掌握を目指していたイラク南部ナシリヤが陥落したと発表した。 また、同地近郊の米軍当局者によると、連合軍はナシリヤ西方のユーフラテス川に架かる橋も掌握、橋の両側に検問所を設置した。 この橋は、約320キロ北西のバグダッドへ進軍するうえで重要な通過地点と捉えられている。
◆イラク領内に侵攻した米英軍地上部隊は22日、南部の主要都市バスラの制圧をめざし大規模な戦闘を開始した。米英軍はバスラ近郊の空港などを制圧、英BBC放送は米英軍がバスラの支配権を握ったと報じたが、イラク軍精鋭部隊がなお抵抗を続けている模様だ。激戦が続いていたナシリヤは米英軍が制圧し、ユーフラテス川を渡ってイラク中部からバグダッドへ進撃する補給拠点ができた。また米英軍は22日午後3時(日本時間同9時)すぎにもバグダッド郊外を爆撃するなど、昼夜を問わない空爆に乗り出した。米英軍は22日夜、空爆を再開した。バスラはイラク第2の都市で、米英軍が制圧すればフセイン政権は大きな打撃を受ける。フーン英国防相によると、イラク正規軍はバスラから撤退し、最精鋭の共和国防衛隊が米英軍と戦っている模様だ。AP通信は米英軍がバスラ北方の空港を制圧したと報じた。ロイター通信によると、米海兵隊の戦車部隊がバスラ西方でイラク軍と激しい戦闘に突入、海兵隊のヘリコプターや戦闘機が米英軍を支援している。海兵隊の現場指揮官は22日、イラク軍と「大きな戦闘」を戦っていると述べたが、直ちに市街戦には突入せず、イラク軍に投降を促す方針を示した。カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」は22日、米軍のバスラ空爆により50人以上が死亡したと報じた。英スカイ・ニューズ・テレビによると、イラク中部で22日、米軍兵士4人がロケット弾による待ち伏せ攻撃で死亡した。また米軍は22日までにイラク西部の砂漠地帯にある複数のイラク空軍施設を制圧。バグダッド周辺にも特殊部隊が展開し、米英軍のバグダッド包囲網形成が一段と進んでいる。イラクのムバラク保健相は21日のバグダッドへの大規模空爆で3人が死亡したと語った。サハフ情報相は負傷者が207人としている。情報相は「負傷者の多くは女性や子供たちだ」と述べ、米英を強く非難した。
◆トルコ軍部隊1000人がトルコ南東部からイラク北部のクルド人自治区へ越境したことに、同自治区を支配するクルド人勢力は強く反発している。また、この派兵には米国が強く抵抗してきた経過もあり、今後、3者の思惑が入り乱れ、イラク北部で混乱状態に陥る可能性も否定できない。トルコ軍の進出にはクルド人勢力が強く反発。クルド民主党(KDP)のバルザニ党首は20日、「トルコ軍が越境した場合、非常に痛みを伴うことになる」と警告。クルド愛国同盟のタラバニ議長も同日、「トルコ軍が来ると聞いていない」と不快感を示した。地元報道によると、トルコ軍は21日夜、南東部のチジェから、イラク北部クルド人自治区のカニマシに向けて越境したという。
23日
◆ユーフラテス川上流のシーア派聖地、ナジャフ付近でイラク軍と米軍が交戦、米軍のバグダッド進撃が食い止められた形になっている。ナジャフはバグダッド南方160キロの地点。米第3歩兵師団に同行中のロイター通信特派員によると、ナジャフ南東70キロでイラク軍と限定的な戦闘があり、進軍が食い止められた。米軍によると、上流の地域ではさらに激しい戦闘があったという。一方、イラク与党バース党は声明で、ナジャフ近郊の戦闘後に米軍部隊が後退、同地方の党指導者が死亡したと発表した。米軍によると、42万人が住むナジャフでは、イラクの精鋭部隊とされる共和国防衛隊との戦闘が予想されるという。
◆米FOXテレビは23日、米政府当局者の話として、イラクの首都バグダッドに向けて進撃中の米軍がバグダッド南方約160キロのナジャフで、化学兵器工場の疑いのある施設を発見したと報じた。兵器が実際に製造されていたかどうかなど詳細は不明だ。同テレビによると、工場は約700メートル四方の敷地にあり、高い通電フェンスに囲われている。建物は砂漠と同じ色でカムフラージュされており、施設に近づいた米兵が、侵入を防止するための仕掛け爆弾で軽いけがを負った。進軍の際、施設周辺にいた約30人のイラク人兵士が投降。米軍は施設の管理者2人を拘束し、尋問しているという。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の報道官はこの報道を受け、ナジャフに化学兵器工場があった事実は知らないと語った。産油国のイラクには石油精製などさまざまな工場があり、化学兵器の製造を短期間で裏付けるのは容易でない。
24日
◆現地からの報告によると、米海兵隊は、イラク南部の都市ナシリヤの手前で動きが取れない状態に陥っている。同都市の制圧は、第2のバグダッドへの北上ルートを開くうえで重要とみられている。米海兵隊に同行しているロイター通信の記者は、海兵隊は、ナシリーアの手前で足踏み状態となっており、ユーフラテス川を渡るために戦うべきか、もしくは同都市を迂回すべきか決めなければならない、と述べている。
◆イラクの首都バグダッドに向けて進撃を続ける米地上軍の攻撃ヘリコプター部隊が24日午前(日本時間同日午後)、首都バグダッドの南約80キロのカルバラで、イラクの精鋭部隊である共和国防衛隊の1師団と約3時間にわたり激戦を展開した。英BBC放送が伝えた。米中央軍司令部はイスラム教シーア派の聖地カルバラでの攻防を、バグダッド到達の時期を決める重要な決戦とみており、米英軍地上部隊は24日午後(25日未明)から25日にもバグダッド近郊に到達し、首都攻略の態勢を整える見通しだ。また米英軍は23日夜から24日朝にかけバグダッドに対し、開戦以来、最大規模の激しい空爆を行った。米国防総省当局者などによると、23日夜から始まった空爆は、精密誘導爆弾やトマホーク巡航ミサイルで、バグダッドの防衛線を主な標的に実施されたとみられる。AP通信によると、バグダッドでは、絶え間なく爆発音が響き渡った。開戦以来最大規模の空爆とみられる。
25日
◆米海兵隊に従軍するロイター通信記者が25日、バグダッドから約350キロ南のイラク南部ナシリヤ発で伝えたところによると、ナシリヤではユーフラテス川に架かる複数の橋の確保をめぐり、米軍とイラク軍の激しい戦闘が続いている。米軍は戦闘ヘリコプター「コブラ」と野砲で攻撃、北へ抜ける新たな補給ルートの確保を試みているが、抵抗が激しく目的を達成していないという。25日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、ナシリヤに400人程度のイラク兵が残っており「戦闘は市街戦の様相を呈し始めている」と伝えた。米陸軍第3歩兵師団の先ぽう部隊は既に、バグダッドから約80キロ南の要衝カルバラ近辺まで到達、首都周辺に配置されたイラク軍最精鋭の共和国防衛隊に戦闘を挑む構えだが、後方のナシリヤの戦況次第では、先ぽう部隊への補給が危ぶまれる事態も考えられる。米英軍は22日にナシリヤを制圧したと発表していた。
◆米英地上部隊は25日、イラク南部のナシリヤ近郊での数日間にわたる攻防を制して進撃を再開、ユーフラテス川にかかる二つの橋を確保した。米英軍はナシリヤからチグリス川沿いに進撃する東ルートと、ナジャフ、カルバラを経由する西ルートの2方面でバグダッドを攻略する見通し。だが、イラク全土は25日、強い砂嵐に見舞われ、ナジャフ近郊では視界が約3メートルにまで悪化、米軍の攻撃ヘリ「アパッチ」と輸送ヘリ「ブラックホーク」の計2機が行方不明になった。乗員数や安否は不明。砂嵐のためバグダッドでは昼間でも夜のように暗くなった。米地上部隊のハイテク兵器にも使用上の障害が出ているという。米軍はまた、バグダッドの南方約80キロのカルバラ周辺で25日、首都防衛にあたる共和国防衛隊傘下のメディナ師団に対し、地上からも集中砲火を浴びせ、空陸から激しい攻撃を加えた。一方、イラクのサハフ情報相は会見で、ナシリヤ近郊の戦闘で米英軍のヘリコプター3機を撃墜、30両の軍用車両を破壊し、米英兵士8人を殺害したと発表した。米英軍側はこれを確認していない。情報相は戦闘や空爆によりイラク全土で民間人16人が死亡、95人が負傷したことも明らかにした。米陸軍第3歩兵師団のプレストン上級軍曹は25日、この2日間のイラク南部の戦闘で、イラク兵ら約500人が死亡したと明らかにした。AFP通信は25日、イラク市民が南部ファオ半島で開戦後、初めて自爆攻撃を行い、米英軍の戦車1両を破壊したと伝えた。バグダッドや北部のキルクーク、モスルなどではこの日も空爆が続けられた。バグダッドでは大きな爆発音が10回以上聞こえ、米特殊部隊による作戦が行われたとの観測もある。
◆イラク北部のクルド人自治区が緊迫の度を増している。自治区内に3カ所ある滑走路は米英軍の受け入れ態勢が整い、クルド愛国同盟(PUK)とクルド民主党(KDP)のゲリラ兵は、自治区とイラク支配地区の境界線に集結中で、事実上、攻撃準備態勢に入っている。
26日
◆米主要メディアによると、イラクの首都バグダッド攻略をめざして北上している米軍地上部隊は米東部時間25日午後(現地時間同日深夜から26日未明、日本時間26日午前)、首都南方約160キロのナジャフ近郊でイラク軍と激しい戦闘を展開、200人近いイラク兵が死亡した。開戦以来、最大規模の地上戦とみられる。また、カタール駐留の英軍報道官は25日、イラク南部のバスラで、一時フセイン政権に対する住民の蜂起が起きたと語った。蜂起は再燃する可能性があり、英軍は蜂起をバスラ制圧の糸口として市内突入の構えを見せている。米CBSテレビは25日、「米軍が電磁波爆弾を初めて実戦に使用し、イラク国営テレビなどの放送を一時まひさせた」と報じた。
◆米CNNテレビなどによると26日、イラク軍の共和国防衛隊の戦車など1000台が首都バグダッドを離れ、イラク南部の都市ナジャフに向かって進撃していると報じた。ナジャフには米軍が展開しており、衝突する可能性がでてきた。
◆米国防総省当局者は26日、イラク北部のクルド人支配地域に米陸軍第173空挺(くうてい)旅団の約1000人が降下、飛行場を確保したことを確認した。北部には既に米特殊部隊が展開しているが、本格的な地上部隊の投入は初めて。南方から首都バグダッドを目指す米英軍部隊とともに、首都攻略を目指す。 戦車や装甲兵員輸送車も運び込まれ、北部から首都への進撃準備が整った。
30日
◆AP通信が30日伝えたところによると、イラク中部に進出した米陸軍第101空挺師団は首都バグダッド南方約160キロにあるイラクの拠点都市ナジャフを包囲した。マイヤーズ米統合参謀本部議長は30日、地上部隊による首都攻略の時期は慎重に判断する方針を表明した。
31日
◆イラクの首都バグダッド南方に展開中の米軍地上部隊は、イラク時間の31日、首都バグダッド近郊のヒンディヤ市街に突入、イラクの共和国防衛隊と初めて市街戦を展開した。
4月1日
◆イラクの首都バグダッドへ向けて北上する米軍部隊は1日深夜から2日未明にかけ、首都南方80キロのカルバラ近郊でイラク精鋭・共和国防衛隊のメディナ師団と大規模な戦闘に入った。米ABCテレビによると、開戦以来、最大規模の戦闘になった。ロイター通信は米中央軍当局者の話として、新たな戦闘が首都への進撃再開を意味する可能性が高いと伝えた。米CBSテレビは、米軍が共和国防衛隊への全面攻撃を開始したと伝えた。地上軍の先頭に立つ米軍部隊はこれまで、カルバラ付近で共和国防衛隊と対峙(たいじ)しつつ、陸と空からの攻撃で同防衛隊の戦力をそぎ、北上の機会をうかがっていた。首都周辺にはメディナ師団のほか共和国防衛隊4個師団が展開しているが、マイヤーズ米統合参謀本部議長は1日、少なくとも2個師団の戦闘能力を半減させることに成功したとしていた。一方、米軍部隊は1日、イラク軍の抵抗が続いていた南部の要衝ナジャフ(首都南方約160キロ)をほぼ確保した。米第101空挺(くうてい)師団に従軍しているAFP記者によると、同師団航空旅団司令官は同記者に対し、1日になってナジャフのイラク部隊は敗走し、数日以内に完全制圧できるとの見通しを語った。
3日
◆米軍によると、イラクの共和国防衛隊に所属する4個師団が、バグダッドに進攻する米軍と交戦するためにバグダッドを出て南下している。フランク・ソープ大尉がロイター通信に述べた。 同大尉は、共和国防衛隊のうち、バグダッド歩兵師団とメディナ機甲師団はもはや戦闘能力を失っている、とした上で、「残りの4個師団が南下している、との報告を得ており、間もなく交戦するだろう。ただ、これまでのところ直接的な戦闘はしていない」と語った。
◆イラクのフセイン政権打倒へ首都バグダッド攻略作戦を展開中の米軍地上部隊は3日、首都包囲に向けて前進を続け、ロイター通信によれば、陸軍第3歩兵師団の先頭部隊が首都から10キロ圏内に肉薄した。米中央軍によると、米部隊は首都南郊の「サダム国際空港」の奪取を狙い、陣地の構築を開始した。これに対し、イラク精鋭の共和国防衛隊4個師団が南下、米軍の前進阻止へ迎撃に乗り出している。
5日
◆米軍筋によると、バグダッドに向けて進軍している米軍がイラク共和国防衛隊のメディナ機甲師団の司令部を制圧した。ロイター通信のベーカー記者は、「米軍は司令部内を調べたあと、火を放つ計画だ」と語った。
◆米中央軍のソープ報道官は5日、米陸軍第3歩兵師団などの部隊が同日午前(日本時間同日午後)、バグダッドの中心部に進攻したことを明らかにした。米CNNテレビなどは「大量の部隊が首都に入った」と伝えた。米英軍の予想外に早い首都突入作戦で、フセイン・イラク政権は崩壊の危機に直面している。 ソープ報道官は軍部隊の進攻について「偵察活動ではない。かなりの部隊が市中心部近くにおり、引き返す計画はない」と言明、本格的な首都攻略戦であることを明らかにした。
7日
◆AP通信によると、米英軍は7日午前(日本時間同日午後)、イラクの首都バグダッドの大統領宮殿など中枢部を制圧した。サダム・フセイン体制は崩壊の危機に直面している。米英軍はイラク情報省、アルラシド・ホテルなどを占拠した。
9日
◆イラクの首都バグダッドで9日、低所得者街の住民が、進攻した米軍を「解放者」として歓迎するなど、大規模な反フセイン街頭活動が発生した。首都全域では政府庁舎や、公共施設などを狙った略奪が起こり、首都を含むイラク各地で無政府状態となっている。首都街頭にも警官や軍人の姿は見られない。米英政府は「戦闘終結ではない」としているが、過去数日続いたイラク側の抵抗は9日朝(日本時間9日午後)以降、首都でほとんど止んでおり、フセイン政権は崩壊した。
10日
◆英BBCの特派員によると、米軍が支援するクルド人部隊は、イラク北部の油田地帯にある都市キルクークを制圧した。ただ、複数のクルド人勢力の幹部はロイター通信に、状況は引き続き不透明だ、と語った。 キルクークの東方約20キロ地点にいる複数のロイター通信の特派員は、米軍機がキルクークを爆撃する様子や、イラク軍による砲撃で一部クルド人兵士がキルクーク近くの配置から撤退するのを目撃している。
12日
◆ドイツのZDFテレビは12日、イラクのフセイン大統領の側近であるサアディ大統領補佐官(科学担当)が同日、首都バグダッドで米軍に投降したと伝えた。同補佐官は米軍が手配したフセイン政権要人リストに名前が挙がっており、要人で初の投降者となる。同補佐官はかつて、イラクの大量破壊兵器開発の陣頭指揮に当たった人物。米側は投降を受け、疑惑の持たれているイラクの大量破壊兵器の行方を追及するとみられる。
14日
◆イラク戦争で米中央軍の報道官は14日、フセイン大統領の出身地で最後の拠点となったティクリット攻略作戦について「統制の取れた攻撃部隊としてのイラク軍は終わったようだ」と述べ、制圧を宣言した。